Column

認識違いで欠陥住宅を掴んでしまう

2019.05.18

念願のマイホームを購入しても、床や壁が傾いていたり、
雨漏りがしたりする欠陥住宅だったら、
せっかくのマイホームが台なしになってしまいます。

 

欠陥住宅が広く世間に知れ渡る契機となったのは、
1995年1月に発生した阪神淡路大震災です。

 

死者約6,400人、倒壊家屋約16万戸という甚大な被害をもたらしました。
死者の9割弱が倒壊した家屋の下敷きになり、圧死したといわれています。

 

とりわけ木造建築物の倒壊による被害が多く、
その原因としては、筋交いの不足や留め付けの不備、壁の配置の偏り、
基礎部の接合不十分、屋上重量と他の構造との不均等など、
住宅の安全性に不可欠な構造上の欠陥が指摘されました。

 

 

大震災以降、建物の構造上の安全性が問題視されるようになり、
建築基準法の改正などにより耐震性に優れた住宅が建てられるようになりました。

 

しかしすべての家屋が建て替えられたわけではありませんので、
今なお欠陥住宅は多くとり残されています。

 

新築の場合でも、建築費を抑えるために安い資材を使ったり、
鉄筋の数を減らしたり、下請け業者に丸投げして手抜き工事が行われるケースもあり、
新築だからといって必ずしも安心できるわけではありません。

 

 

大金を支払ってマイホームを購入する際、
こんなはずじゃなかったと後悔しないために、
購入前に知っておくべき欠陥住宅のチェックポイントを紹介します。

 

欠陥住宅とは?

 

欠陥住宅とは、建物の重大な不具合により住居として最低限備えるべき
重要な機能や性能を失っている住宅のことです。

 

具体的には、雨漏りや床の傾き、壁や柱の傾斜、
基礎の陥没、気密・断熱・通気性の不良などです。

 

住宅は人が住むことを目的とした建物で、
居住者を暑さや寒さ、風雨や騒音などの外的環境から保護し、
快適に過ごせるものでなければ意味がありません。

 

このような機能を失った住居が欠陥住宅と呼ばれているのです。

 

大別すると、建築基準法などの法令に違反したものと
当事者の契約に違反したものとに分けられます。

 

法令違反の場合は、勝手に法令を変更できませんので、
明らかに欠陥といえます。

 

しかし,

 

契約違反の場合は、契約は当事者間で自由に決められますので、
契約内容が明確になっていない場合、契約違反の認定が難しく、
欠陥であるといいきれないことがあります。

 

目に見える欠陥と見えない欠陥

欠陥住宅には、見た目に症状や弊害が出ている欠陥と、
見えない部分で基本性能を喪失して将来の不具合が予見される欠陥とがあります。

 

《見た目に症状や弊害が出ている欠陥の例》

・雨漏りがする。

・床が著しく傾斜し、床鳴りや軋みが起きている。

・給排水管の施工不良により床下に水漏れがある。

・基礎がひび割れて部局的に大きく沈下している。

・断熱材や気密材の施工不良により結露が発生している。

・壁や柱が傾斜している。

・屋根が剥がれたり、ずれたりして大きく変形している。

・給気口の位置が悪く、24時間換気量が不足している部屋がある。

 

《見えない部分で基本性能を喪失して将来の不具合が予見される欠陥の例》

・地震に耐える部材の筋交いが不足し、
   ホールダウン金具(接合金具)が適切に設置されていない。

・地震に耐える部材の構造用合板の規格や打ち付ける釘の材料、
    長さ、打ち付ける間隔が基準に適合していない。

・土台などに防腐防蟻措置がされていない。

・基礎の鉄筋コンクリートのかぶりの厚さが足りない。

・基礎の根入れの深さ(埋め込みの深さ)が、地盤の凍結深度に達していない。

・準防火構造の認定仕様で定められた部材でない断熱材が使用されている。

 

 

欠陥といえない不具合

欠陥住宅の欠陥とは、住まいとしての機能や性能が低下し、
住み続けることが困難になるような重大な不具合を指しますので、
簡単な補修で解消される軽微な不具合の場合は、欠陥とはいません。

《欠陥とはいえない不具合の例》

・内壁の壁紙の破れや剥がれ。

・基礎部分のヘアクラック(髪の毛程度の細さのひび割れ)。

・乾燥や湿気による建具の開閉不良。

 

経年の自然劣化による不具合も、
欠陥住宅には当てはまりません。

 

例えば、外壁に軽度なひび割れが発生したり、
内装の壁紙が剥がれたりした場合です。
もちろん程度にもよりますが、築10年以上経過した住宅で、
このようなことが生じても、欠陥住宅とはいえないのです。

 

 

建築確認済証・検査済証との関係

欠陥住宅を懸念して、販売元や施工業者の営業マンに質問すると、
よく返ってくるのが、「建築確認済証と検査済証が交付されていますから、大丈夫ですよ!」
という回答。

 

しかし建築確認済証と検査済証が交付されているだけでは、

安心できないのです。

 

建築確認とは、一定の建築物を建築(増改築を含む)する際、
工事の着工前に建築計画が建築基準法などの法令で定められた建築基準
(建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準)
に適合しているかどうかを審査するもので、
基準を充たしていれば、確認済証が交付されます。

 

書類により建築物の計画内容を確認するもので、
実際に工事を行った内容について判断するものではありません。

 

他方、検査済証とは、建築工事が完了した際の完了検査において、
その工事が建築確認申請の通りに行われ、建築基準法などの法令に適合しているかどうかを検査し、
合格した場合に交付されるものです。

 

検査済証が交付されれば、
お墨付きをもらったような感じがしますが、

実は、そうではありません。

 

完了検査では、建築確認申請通りに工事が完了したかどうか、
つまり「間取り」「開口部(窓)」「建物配置」などを中心に行われる検査のため、
断熱材や不燃材の使用の有無、床下の水漏れなどは一切検査内容に含まれていません。

 

したがって、たとえ断熱材を使用していなくても、
床下で水漏れを起こしていても、完了検査に合格すれば、
検査済証が交付されますので、建築確認済証や検査済証があるからといって、

 

欠陥住宅ではないという保証にはなりません。

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